靖国神社参拝

中国韓国朝鮮がどうこうというのはこの記事では扱わない、興味ないから。

この記事で述べる「政治的に正しい/正しくない」は、英語でいうPolitical Correctness、つまり、社会的な公平さがあるかないかだけの意味である。内政だとか外交だとかいう実際の政治を意識したものではない。

靖国神社は墓ではない。戦死者の「魂を祀る」という特定宗教のための施設だから、首相が首相として参拝するのは「政治的に正しくない」。千鳥ヶ淵の戦没者墓苑は墓だ。特定宗教色は薄れるから、「政治的に正しい」。

寺や神社は日本の文化と密接に関連している。そのせいか寺や神社が宗教施設だという意識が弱い人はたくさんいるけど、日本人全員がそう信じているわけではない。また、人数の多寡によって、寺や神社が宗教施設ではなくなるわけではない。

神社というか神道が日本ローカルの宗教で、他国には馴染みがないのも話をややこしくする。「死んだら善人も悪人もなくなって清浄な魂となる」「死者の魂を祀らないと生者に害をなすことがある」みたいな宗教概念が理解されないと、なんでA級戦犯を祀ったりするのか意味が分からないだろう(悪事を許して受け入れているのか、あるいは悪事も込みで崇拝しているのかと誤解される)。神道における魂とはあきらかに宗教概念のひとつなのだけど、神道を宗教だと思っていない人は、それはただの歴史ある日本文化でしかないとでも思っているのだろうか?

それから、靖国神社がただの神社の一つというのは全く通らない。戦前の国家神道を引き継ぐ「いわくつき」の神社だ。もちろん国の管理からは離れているが(当然だ)、靖国神社は神社本庁とは独立した宗教法人であり特別な存在だ。本当に「戦死者を祀るただの神社」が欲しいのなら新しくそのような神社を神社本庁が建てればいいのだけど、そうしない。本庁も靖国を特別視している。

というわけで首相が靖国参拝することには否応なしに特別な意味が生まれる。そういう行為が「政治的に正しくない」のは明らかだろう。